本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Ask Me Why

6月のEMIオーデションで演奏された曲ですが、
9月のデビューシングル録音時には演奏されていないことから、
当初はポール中心で売り出そうとしていた大人の事情が見え隠れします。
勝手に妄想してるだけなので、本当のところは分かりませんが(笑)。

 

スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ風を狙ってジョンが作曲したとのことですが、
今までこの曲をスモーキーっぽいと思って聴いたことありません(苦笑)。
ジョンの曲にしては珍しくコードチェンジが結構多いんですけれど、
流れるようなコード進行というより、
きごちなさを感じさせつつも強引に楽曲として成立しているあたり、
間違いなくジョンの楽曲だと言えると思います(笑)。

 

先日の「Please Please Me」の記事に書いた通り、
ジョンとジョージともにJ-160Eをアンプに繋いで弾いています。
ジョージはギターのトーンコントロールを絞っていると思われ、
甘くて太い音を出しています。
ジョンのギターはアンプに繋いだ音に加えて、ヴォーカルマイクが生音も結構拾っています。
ステレオミックスだとジョンのギターの2つの音が聴き取り易く、
左チャンネルからはアンプに繋いだ音が聞こえ、
右チャンネルからはヴォーカルと一緒に生音が聞こえます。

 

 ポールのベースは、所々でお得意の4ビートのフレーズが出てくるし、
リンゴもリムショットを中心にラテンっぽいノリを演出してるしで、
メンバー4人、なかなかの名演じゃないでしょうか。

 

この曲について特筆すべきことは、
当時若干22歳だったと思えない、哀愁味溢れるジョンのヴォーカルと、
それに絡むポールとジョージのコーラスとハーモニーの素晴らしさで、
デビューして間もないバンドとは思えない完成度の高さだと思います。

 

デビュー当初のポールは、リードヴォーカルとしてはやや不安定な印象を受けますが、
独特の伸びのある高音は、コーラスやハーモニーに回った時の方が輝いて聴こえます。
それはこの曲についても言えることで、
まるでレモンのように、楽曲に清涼感と瑞々しさを添えています。

 

 最後のコードの何とも言いようのない余韻が、
恋が実ったのに何故か切ない若者の気持ちを代弁しているようで、
ラブソングとして、僕はこの曲に強烈なシンパシーを感じます。
この曲は紛れもなくビートルズ初期の屈指の名曲で、
今まで軽く聞き流していた人は、一音たりとも聞き逃さないよう、
しがみつくようにこの曲と向き合って欲しいなと思います。