1963年2月11日のレコーディングは、10時から13時、14時半から18時、19時半から22時45分の3部構成だったのですが、「Misery」は2部の最後にレコーディングされています。
もっとも、この曲のレコーディングはこの日だけで終わらず、2月20日にピアノのオーヴァーダビングが施されています。2月20日のレコーディングではビートルズは不在だったのですが、テープオペレーターを新米だったジェフ・エメリックが務めたそうです。
モータウンのガールズポップ風のメロディラインに、ロックの8ビートのリズムパターンを融合させて、彼らの狙いは何となく分かるけど、それほど良い曲だとは個人的には思わないですね。但し、ビートルズ初期の特徴であるジョンとポールのユニゾンヴォーカルが聴ける初のオリジナルソング、って点ではビートルズ史上に残る楽曲だと思います。そんな扱いされているのは、今まで見たことありませんが(苦笑)。
ジョンはJ-160Eを生音で鳴らして、ジョージがグレッチで8ビートを刻んでいます。ミドルのピアノのフレーズは、当初ジョージがギターで弾いていたけど、イマイチしっくりこなかったので、急遽ピアノで弾くことになったのだとか。ポールとリンゴのリズム隊はシンプルなプレーに徹していますが、特にリンゴはオカズが全く入らない徹底ぶり。
前述の通り、ジョンとポールのユニゾンヴォーカルですが、唯一Aメロの最後の「Misery」って単語だけ上下に分かれます。たったのこれだけで強烈なビートルズ臭がするんですから、音楽って奥が深いなって思います。
「Misery」