本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Chains

オリジナルは、女性3人組のヴォーカル・グループであるThe Cookiesが1962年10月に発表したシングル曲。

 前回レビューした「Anna(Go To Him)」が1962年9月に発表されたばかりの曲をカバーしたことに驚きましたが、この曲はそれを上回る1962年10月発表、しかも最高位が全米17位を記録するヒット曲を1963年2月のレコーディングでカバーする神経には驚きしかありません。日本人的なメンタルでは色々とやりにくさを感じそうなもんですが、それともこんな事に一々ケチをつけるのは日本人でも僕だけなのかもしれません(爆)。

 

基本的にオリジナルに忠実な演奏なんですが、ビートルズの方がテンポが速めなのと、オリジナルにはある管楽器のオブリガードがビートルズのバージョンにはありません。これは経済的な理由で仕方ないか(苦笑)。この曲が録音された2月11日のレコーディングでは、オリジナル曲が軒並み10テイクを越えたのに比べて、カバー曲は完成形がハッキリ見えてるからなんでしょうけど少ないテイク数でOKになっています。この曲も4テイクでレコーディングで終了しています。

 

ジョージはデュオ・ジェット、ジョンはリッケンで共にリズムを刻んでいます。音色の違うギターが混じりあって、なかなか面白いサウンドになっていると思います。このサウンドの妙は狙ってやってるんでしょうね。ところで録音時のマイクのセッティングが悪かったのか、ジョンのギターの音色は割れ気味であまり良い音とは言えないですね。ジョージの楽曲で張り切ってベースを弾く事に定評のあるポールですが、思いのほかこの曲ではおとなしめ。ジョージのオリジナルじゃないからかな(笑)。リンゴは得意のシャッフルのリズムを、オカズもなく淡々と叩いてます。

 

ジョン・レノンポール・マッカートニーを従えて、ジョージがメインヴォーカルをとるスタイルは何とも羨ましい限りですが、頑張らないとジョンとポールに食われちゃうんで、ジョージ的には大変だったんだろうな。後年の繊細さの欠片もない、思いのほかに野太い声のジョージのヴォーカルは、彼の育ちやそれまでの素行の悪さの表れだと思うのですが、流石にそれは言い過ぎでしょうか(笑)。ジョンはハモリに回っても流石の上手さだし、とりわけポールの高音が楽曲の出来を決定づけるくらい印象に残ります。ビートルズがガールズ・グループのカバーの質が高いのは、ポールの貢献度によるところが多分にありますね。結局のところ、ジョンとポールのハモリの方に耳が行って、ジョージのメインヴォーカルはあんまり印象に残ってないな(苦笑)。

こっちはThe Cookiesのバージョン