本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

A Taste Of Honey

1963年2月11日のレコーディングの、午後からのセッションの1曲目に演奏されています。この日のレコーディングは、前半にオリジナル曲、後半にカバー曲が集められているのですが、この曲は前から3番目と随分と早くに演奏されています。

 午前のセッションで「There's A Place」と「I Saw Her Standing There」が演奏されて、共に約10テイクかけていることから、気分転換に演奏し慣れたカバー曲を午後のセッションの最初に選んだのではないかと勝手に思っています。ちなみに、午前のセッションと午後のセッションの間、彼らはランチも食べずにリハーサルをしていたと言われてますね。

この曲は同名のタイトルのブロードウェイミュージカルのために書かれた曲で、元はインストゥルメンタルナンバーでした。この曲を最初にレコーディングしたのがBilly Dee Williamsって人で、この人のバージョンはオリジナルのミュージカルに近いのではと思います。次にレコーディングしたのがLenny Welchって人で、ビートルズはこの人のバージョンをカバーしたのだと思います。

ジョージはデュオ・ジェット、ジョンはJ-160Eをアンプに繋いで演奏していると思われます。デュオ・ジェットの音が大きすぎて、ジョンのギターが聞き取り難いんですけど、曲の最初に生っぽい音が聞こえるものの基本的にエレキっぽいサウンドが聞こえるので、J-160Eのアンプ通しと思った次第です。ベースは途中上がり下がりのあるフレーズも聞けますが、基本的にはシンプルなプレーに徹しています。ただ、よく聞いてみると音の長さに変化をつけていて、工夫の跡が見受けられます。リンゴは珍しくブラシを使っています。この曲以降、「I've Just Seen A Face」まで使われなかったんじゃないかな。あいまいな記憶を頼りに書いてるので、自信はありませんが(笑)。

ポールのヴォーカルは、低音域はやや安定感に欠けますが、ナルちゃん気味に気持ち良さそうに歌っています。ジョージと同様に、オリジナル曲のヴォーカルと比べると、手本のあるカバー曲に関しては、デビュー時から結構達者なところを見せてくれます。っていうかそれが普通で、この時点でオリジナル曲でも堂々とした歌いっぷりのジョンが異常な訳で(笑)。

この曲では、ビートルズでは初のダブルトラックが使われています。丁度ベースのフレーズが上がり下がりする「I Will Return~」の箇所ですが、当時のレコーダーが2トラックしかなかったことを考えると、わざわざダブルトラックにしたのは何か特別な意図があったのではと思います。正直よく分かりませんが(爆)。多分サウンドに変化をつけたかったのではと思いますが、その甲斐あっていい感じに仕上がっていると思います。これに味をしめたのか、アルバム『With The Beatles』からダブルトラックが多用され、この技術なくしてビートルズサウンドは語れなくなります。

これはBilly Dee Williamsのバージョン

こっちはLenny Welchのバージョン