本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Twist And Shout

この曲を最初にレコーディングしたのはトップ・ノーツという男性ヴォーカルグループでした。

 彼らはアトランティック・レコードに所属していましたが、この曲のプロデュースを同じレコード会社に所属していたフィル・スペクターに依頼しています。この曲のレコーディングには、サックス奏者としてキング・カーティス(アルバム『Imagine』収録の「I Don't Want To Be A Soldier」で共演)、バック・コーラスにクッキーズ(ビートルズがカバーした「Chains」のオリジナル)が参加しており、何かとビートルズと所縁が深いです。ビートルズのバージョンと比べて非常にテンポが速く、ダンス・ミュージックなんでしょうけど踊り終わったら息も絶え絶えになりそうです(苦笑)。ビートルズがお手本にしたのが、アイズレー・ブラザーズのカバー・バージョンです。アイズレー・ブラザーズのバージョンはビルボード誌で最高17位を記録し、彼らにとって初のトップ20入りしたシングルとなりました。

有名過ぎるエピソードだと思いますが、この曲は1963年2月11日のレコーディングの一番最後に演奏されました。風邪の影響で喉が限界だったジョンですが、渾身の力を振り絞ってテイク1がOKテイクとなりました。ジョンは上半身裸でレコーディングに臨んだそうですが、現場に居合わせたであろうブライアン・エプスタインは果たして正気を保つことができたのでしょうか(笑)。テイク2も演奏されたそうですが、もうジョンの声が出なくなって、長かった2月11日のレコーディングはこれで終了となりました。ブライアン・エプスタイン的には、もっとレコーディングを続けて欲しかったに違いない(笑)。

延々と繰り返される印象的なギターリフは、アイズレー・ブラザーズのバージョンではベースが弾いていました。間奏のギターリフは、アイズレー・ブラザーズのバージョンではトランペットのフレーズですね。どちらのリフもテクニック的には難しいプレーではありませんが、当時メンバーが使っていたと思われる相当太い弦でないとビートルズサウンドにはならないと思います。ジョンは多分リッケンを弾いてると思うんですけど、間奏でジョージとユニゾンで弾くとこ以外あんまり音が聞こえません。ひょっとしたら、間奏以外ほとんど弾いてないのかもしれません。勝手な想像ですけど(汗)。ポールのベースは、前述のトップ・ノーツ、アイズレー・ブラザーズどっちのバージョンにも似てないので、多分ポールが考えたフレーズなんでしょう。結構動きの激しいフレーズなんで、コーラスしながら弾くのは大変だったと思います。この曲のノリを作り出してる重要なパートだと思います。ドラムはリンゴお得意のシンバルの団扇打法が初登場。ベースとフレーズを合わせてる訳ではありませんが上手い具合にかみ合って、Twist&Shoutのツイストの部分で大貢献しています。

Twist&Shoutのシャウトの部分ではジョンの独壇場、一世一代のシャウトを聞かせてくれます。ジョンのシャウトの素晴らしさは決して暑苦しくならないことで、シャウトの褒め言葉としては違和感あるかもしれませんが、美しささえ感じます。ただ、エンディング近くの「ウェ、シェキシェキシェキ、ベイベーナー」は喉がつぶれる寸前って感じで、もう声が出なくなってますね。レコーディング当日、ジョンが酷い風邪だったエピソードを知っているから言えることかもしれませんが。

何はともあれ、長かったレコーディングはこの曲で終了。何とかレコーディングをやり遂げた解放感と達成感に包まれて家路についたかと思いきや、メンバー全員コントロールルームに上がってこの日のレコーディングのプレイバックを聴いたと言うから驚きです。この曲を含む、アルバム『Please Please Me』はイギリスで発売されると、30週連続No.1に居座り続ける大ヒットとなります。チャートアクション的にも驚異的な記録ですが、それ以上にレコーディングコストに対する売上という点で、驚異的なコストパフォーマンスを誇るアルバムではないでしょうか。

トップ・ノーツのバージョン

アイズレー・ブラザーズのバージョン