本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

I Want To Hold Your Hand

アメリカでNo.1を獲得し、この曲のヒットをきっかけに彼らの人気はイギリス国内のみならず世界的なものになりました。

 ビートルズのレコードのアメリカでの販売元はEMI傘下のキャピトル・レコードでした。キャピトル・レコードはEMI傘下とは言え、アメリカのレコード市場がイギリスよりも大きなこともあり、売上高ではEMIとほぼ対等な関係だったようです。ビートルズのレコードがキャピトル・レコードで販売されるのに「I Want To Hold Your Hand」まで待たねばならなかったのは、キャピトル・レコードのA&Rマン(アーティストの発掘や契約のみならず、人によっては楽曲制作にもかかわる)デイブ・デクスターが、ビートルズはじめイギリスのミュージシャン全般のアメリカでの販売を拒んでいたからだそうです。ただ聴かず嫌いだった訳ではなく、ビートルズに関しては初期のシングルがハーモニカを使っていたことが気に入らなかったようです。その状況が一変したのが、デクスターのイギリス出張でした。そこでアラン・パーマーなるA&Rマン(ちなみにビートルズのドキュメンタリーを制作した同名の映画監督と同一人物か不明)にアーティスト名を伏せて「I Want To Hold Your Hand」を聴かされ、最初の数小節で飛びついてきたと言われています。それとは別に(恐らくキャピトル・レコードから)デクスターに対して、イギリスのグループを注意深く吟味するよう圧力がかけられていたとも言われています。いずれにしてもデクスターの方針が変わり、キャピタル・レコードからビートルズのレコードが販売されることになりました。

1963年10月17日にレコーディングされた「I Want To Hold Your Hand」は、4トラックレコーダーが導入された初めての楽曲となりました。この日の午前中に1963年のクリスマスレコードがレコーディングされており、厳密に言えばこの曲は2番目ですが、その辺はもういいでしょう(笑)。4トラックレコーダーの導入により、ビートルズの音楽は凄まじいほどの成長曲線を描き、革新的な作品を次々と生み出していきます。この日は初めての使用だったにもかかわらず、早速ギターをオーバーダビングするなど、トラック数が増えたメリットを活用しています。

ジョンとポール2人がメインヴォーカルをとる曲としては、これが最高傑作と言っていいでしょう。何か所か歌詞が怪しいですが、そこは気にしない(苦笑)。ユニゾンとハーモニーの使い分けが絶妙で、「Please Please Me」でも使われたジョンとポールの高低入れ替わりが登場したり、Bメロ1回目はユニゾンそして2回目はハーモニーと工夫もしています。ジョージが一切加わることなく、楽曲全編ジョンとポール2人で歌いきるのは意外と珍しいです。この曲以降2人で歌うことが激減するのは、2人で一緒に作曲することが減ったからだろうなと思います。そう言えば、この曲はジェーン・アッシャー宅の地下室でジョンとポール2人で作ったと言われています。ポールの彼女(ジェーン・アッシャー)宅にジョンもいることに少々違和感がありますが、そんなこと気にしているのは僕だけでしょうか(笑)。

長くなるので、次回に続きます。