本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Roll Over Beethoven

レコードでは、この曲からB面です。ビートルズのメンバーがチャック・ベリーに強く影響を受けたであろうことは、後に発表された『Live At The BCC』で彼の曲を数多く演奏していることから窺い知れます。しかしながら、彼の曲で正式にレコーディングされたのは2曲のみで、そのうちの1曲がこの「Roll Over Beethoven」です。レコーディングは1963年7月30日に行われ、ベーシックトラックに5テイク、オーバーダビングに3テイク、計8テイクで終了しています。

 ジョンのヴォーカルスタイルは、チャック・ベリーの気怠い感じのヴォーカルに強く影響を受けているのですが、この曲に関してはチャック・ベリーは気怠いと言うより力強い感じで歌っています。元々ジョンが歌っていたのに、ジョンは自分のスタイルじゃないと思ったのか、あるタイミングからジョージが歌うことになりました。勝手な想像ですが、ジョージ的にはヴォーカルを担当することになったのは美味しい話ではなく、リード・ギターで大変なところ無理矢理ヴォーカルを押し付けられたのではと思っています(苦笑)。

ジョージのカントリー・ジェントリマンが全面的にフィーチャーされています。イントロや間奏など要所ではダブルノートのフレーズ、歌中はコードを鳴らしている感じです。ダブルノートのフレーズは、チャック・ベリーのオリジナル・バージョンのフレーズそっくりそのままではなく、テイストのみコピーした感じでしょうか。どちらかと言うと、ジョージのプレーの方が決められたフレーズをキッチリ弾いていて、チャック・ベリーの方が崩して弾いている感じです。ステレオ・バージョンで聴いていると、ジョージのギターはジョンのギターと一緒に左の方から聞こえるのですが、間奏のギターソロだけ右から聞こえるので、間奏の部分はオーバーダビングしたように思います。

ジョンはリッケンバッカーで低音弦中心のリフを弾いていますが、一応基本的なフレーズはあるようですが割と自由に弾いています。ポールのベースに関しては、ビートルズの全ての楽曲の中で最も自由奔放に弾いてるのではと思えるくらい、繰り返しのないプレーです。ひょっとしたら全テイク、アドリブで弾いていたんじゃないかと思えるほどです。リンゴはシンバル連打とバスドラのコンビネーションがいい感じで、他のメンバーは気持ちよくプレーできたんじゃないでしょうか。

チャック・ベリーの楽曲の特色として、ゴツくてクセの強い見た目に相反して、モダンで洗練された作風が多いです。この曲もその典型的な曲だと言えますが、ビートルズのバージョンの方がより洗練された感じに仕上がっています。チャック・ベリーのヴォーカルに比べると、ジョージのヴォーカルは線が細いですが、スマートな演奏と相まってビートルズならではの味と言えると思います。

Chuck Berry