本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Devil In Her Heart

アメリカの黒人女性グループ、The Donaysのシングル「Bad Boys」のB面曲をカバーしました。The Donaysはこのシングル曲を発表したのみで解散しており、グループとしては成功したとは言えませんが、ビートルズがカバーしたおかげで後世まで名を残すことになりました。

 この曲をどうやって掘り出してきたかは謎ですが、ジョージがこの曲をカバーすることを提案し、その流れでリード・ヴォーカルを担当することになりました。ビートルズらしさ満点の3声のヴォーカルが楽しめる、ナイスな選曲だと思います。

基本的にオリジナルに忠実に演奏していますが、オリジナルがフェイドアウトなのに対し、ビートルズのバージョンはフルエンディングになっています。あと、ギターのリフをオリジナルよりもキッチリと弾いています。「Roll Over Beethoven」と同様に、ビートルズのバージョンの方がオリジナルじゃないのかってくらいキッチリ弾いており、こういうとこにジョージの性格が出ているのかもしれません。ジョンのギターはステレオ盤の右からうっすら聴こえてくるのがそれだと思います。恐らくリッケンバッカーで、コードストロークを中心に時折りジョージに合わせてオブリガードを入れています。ポールのベースは、ジョージのヴォーカル曲の中では比較的おとなしめの演奏だと思います。とは言え、時折り8分弾きを織り交ぜジョージのフレーズと合わせたりしており、どうしてもおとなしくはしてられないようです(苦笑)。リンゴのドラムは、イントロで聴けるあのフレーズ一発で楽曲全体が洗練されたように聴こえます。このイントロのフレーズですが、ステレオ盤を聴く限り、恐らくダブルトラックにしていると思われます。そしてオーバーダビングでマラカスも担当していますが、大きめの音でミックスされており、気になりだすとこの音しか聴こえてきません(苦笑)。

上から順に、ポール、ジョージ、ジョンによる3声のヴォーカルは3人のバランスも良く、この曲の最大の聴きどころと言えるでしょう。ジョージのヴォーカルは、Bメロのソロパートの部分のみダブルトラックになっています。女性ヴォーカル曲のカバーは、見本があって無いようなものだと思うので意外と難しいと思うのですが、ジョージの芸風確立前の自然体ヴォーカルで臨んでいます。

この曲のレコーディングは1963年7月18日、たったの6テイクで終了しています。そのうち3テイクはオーバーダビングなので、ベーシックトラックはわずか3テイクで終了しています。エンディング直前にギターがフライングしていて、自分の感覚だと録り直したいと思うのですが、本人たちには問題にならなかったのか不思議に思います。この頃はまだヴォーカルと演奏を同時に録音していたので、ヴォーカルがOKだったら少々の演奏のミスは目をつむるって風潮だったのかもしれません(ホンマか)。

The Donaysのバージョン