本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

追憶の「レット・イット・ビー」と「ドント・レット・ミー・ダウン」

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3月13日の夜、TRICERATOPS和田唱のツイートで松村雄策氏が亡くなったことを知りました。生前、和田唱と面識があったことにも驚きましたが、自分の音楽生活に多大な影響を与えた松村氏の死はとてもショックでした。数年前に脳梗塞で倒れたことは知っていましたが、2年前にガンに罹患して闘病中だったこと、ガン治療の高額医療費を渋谷陽一氏が支払っていたことは知りませんでした。

洋楽を聴き始めたころ、渋谷氏の「サウンドストリート」でブリティッシュ・ロックの素晴らしさを覚え、その流れで「ロッキン・オン」を読むようになりました。僕が読み始めた頃は200円台で、今よりはるかに投稿記事の占める割合が高かったのですが、松村氏は名物ライターの1人でした。個性豊かな名物ライター達の中で松村氏が素晴らしかったのは、文章が分かりやすくて押しつけがましさがなかった点でした。ビートルズが解散してから年月が経つにつれ、日本ではビートルズ神格化のインフレが進む一方ですが、ビートルズ存続中ファンを名乗る人は国内で少数派であったことは、渋谷氏と松村氏から教えられました。

松村氏の原稿で一番好きだったのが、アルバム『Band On The Run』を初めて聴いた時のエピソードです。ビートルズ解散後のポールの作品がビートルズ時代と比べて見劣りするものが続いたため、新作の『Band On The Run』にも期待がもてず、カレーを食べるついでに聴いたところ、1曲目の「Band On The Run」でカレーを食べる手が止まり、2曲目の「Jet」で号泣していたって話だったと思います。彼の著書は何作か持っているので記憶が間違ってないか確認したところ、よりによって処分してしまった1冊に掲載されていたようです(苦笑)。

今日の記事のタイトルは、ロッキン・オン2021年12月号に掲載された松村氏の原稿のタイトルの引用です。僕が最後に読んだ松村氏の原稿です。リアルタイムで映画とアルバム『Let It Be』を体験した時の思い出が書かれています。12月号は映画『Get Back』とアルバム『Let It Be』スーパーデラックス盤の特集号だったのですが、松村氏の原稿には一切それには触れていませんでした。生前、これらの作品を見聞きできていれば良いのですが。

松村氏の死を報じるネット記事に書かれている「音楽評論家」には違和感ありますが、それに代わる肩書も思いつきません。強いて言えば「松村雄策」というのが彼の肩書でもあるのかもしれません。ありがとう、マッキー・ショック!