本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Rock And Roll Music

ビートルズが多大な影響を受けた、チャック・ベリーのカバーです。オリジナルは1957年に発表されて、ビルボードHOT100の8位まで上がっています。ビートルズの日本公演のオープニング曲として演奏されたことから、リアルタイムで聴いていた世代の方には思い入れの強い曲ではないでしょうか。この曲は日本でシングルカットされて好セールスを記録したため、日本のプロモーターかレコード会社から、来日公演の際には演奏して欲しいと要請されたって情報を何かで見たことあります。1966年のツアーでは日本公演の前からこの曲を演奏しているので、日本のリクエストに応えたものかどうかは微妙なところです。

ビートルズハンブルグで下積みしていた頃からのレパートリーってことで、ジョンは相当歌い慣れていたんだろうなって感じがします。レコーディングは1964年10月18日に行われ、たった1テイクで終了しています。ジョンとジョージのギターは同じトラックに収録されたのか、ひとかたまりで聴こえてきます。Aメロは低音弦中心のゴツいサウンド、サビは高音弦も交えたコードストロークって感じですが、2人とも全く同じではないけど一曲通して似たようなプレーをしています。ジョンはリッケンを演奏していると思うのですが、ジョージのギターよりもよく聴こえます。ベースはパターン化されたフレーズを、ポールには珍しくあまり崩さず演奏しています。ミストーンもあるのですが、メンバー全員の勢いがそれに勝ったって感じでしょうか。リンゴのドラムもパターン化されており、Aメロとサビで2つのパターンを使い分けています。

デレク・テイラーによる英国盤アルバムのライナー・ノーツでは「ジョージ・マーティンが、ジョンやポールと共に1台のピアノを演奏している」と書いているらしく、かつてはこれが通説となっていましたが、レコーディングが1テイクで終了していることから判断すると、ジョージ・マーティン1人の演奏と考えるのが自然です。ビートルズのようにこの曲を演奏し慣れていないのに、たった1テイクでOKにしたジョージ・マーティンの腕前は大したものだと思います。

コードを鳴らしてリズムを刻むのに専念している楽器群を従えて、ジョンは一曲通して「歌い飛ばす」という表現がピッタリなヴォーカルを聴かせてくれています。間奏が無いのでブレイク以外は歌いっぱなし、しかも腹の底から声を出さないと感じが出ないので、3分未満の曲なのに一曲歌いきるのは至難の業です。世界中のコピーバンドのジョン泣かせの一曲と言えるでしょう。オリジナルよりキーを上げたことで、こんなスタイルのヴォーカルになったのですが、どっちかと言うとオリジナルの脱力系ヴォーカルの方が、ジョンのヴォーカルスタイルに合っているように思います。ひょっとしたらなんですけど、ビートルズがお手本にしたのはチャック・ベリーのオリジナルではなく、誰かがカバーした「Rock And Roll Music」じゃないのかって気もします。

チャック・ベリー