本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

I'll Follow The Sun

ポールが10代の頃に書いた曲だそうで、クオリーメン時代と思われる音源をYouTubeで聴くことができます。その音源については歌いまわしとか少々古臭い感じでしたが、このアルバム用にレコーディングするにあたり少しばかり手直ししたと思われます。Aメロの斬新なコード進行(V→IV7→I→II)に、若き日のポールの才気のほとばしりと言いますか、初心者が時折り発動するラッキーパンチ的なものを感じます。

ヴォーカルはポールの独断場かと思いきや意外とそうでもなく、歌いだしはジョンとのユニゾンです。声質は全然違うハズなのに、2人のユニゾンは同じ声に聴こえるんですよね。ポールのダブルトラックと判断は迷いますが、ここはジョンとのユニゾンでしょう。ハモリの部分はポールの方がメインのメロディだと思うけど、ジョンのパートの方が大きく聞こえます。

ジョージはテネシアンをトーンを絞った甘い音で演奏しています。楽曲全編アルペジオで演奏しているような印象がありますが、歌のバックでは単音のみにしてみたり変化をつけています。間奏のギターはジョージの提案で後から録音したものです。演奏の出来にメンバー全員満足していなかったのですが、ジョージは1テイクしか弾かせてもらえなかったそうです(苦笑)。一方、ジョンはJ-160Eをアコースティックな音で演奏していますが、いつものようにコードをかき鳴らすのではなく、高音弦と低音弦を弾き分けて演奏しています。ある程度パターン化されているけど、ジョンの感性一発って感じですかね。ポールはピックではなく指で弦を鳴らしてるようで、低い音は出ているけど芯のない甘い音です。ジョージのテネシアンと同じく、トーンを絞っている可能性があります。リンゴは自分の太ももをパーカッション代わりに叩いていると言われてますが、もっと硬いものを叩いているような気がします。アコースティックなサウンドのせいで気付きにくいですが、テンポはかなり速いですね。

楽曲自体に垢抜けなさがあるのは否めませんが、アレンジの良さがそれを充分にカバーしており、アルバム中の口直し的にキラリと光る作品に仕上がっていると思います。