本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Mr. Moonlight

オリジナルはDr. Feelgood & The Internsが発表したシングル「Dr. Feelgood」のB面曲です(ややこしい)。このアルバムに収録されたカバー曲は、基本的にメンバーのアイドルの楽曲が選ばれているのですが、唯一この曲は非常に渋い選曲となっています。ジョンが歌っていることから彼のお気に入りだったんでしょうけど、彼がこれまで歌ってきたカバー曲とは随分と趣きが異なる気がします。アルバム『Beatles For Sale』のレコーディングの初日に演奏されており、当初からアルバム収録曲として考えられていたことが窺えます。デビュー前からのレパートリーだった割りにレコーディングには手こずり、10月18日にリメイクしてようやく完成しています。

ハモンドオルガンをオーバーダビングしているのを除けば、オリジナルに忠実な演奏だと思います。ジョージのテネシアンが低音のリフを担当し、ジョンは恐らくリッケンバッカーでコードを鳴らしています。2人のギターのコンビネーションは抜群で、ハモンドオルガンがなかったとしても充分リッチなサウンドだと思います。ポールのベースは、低い音は出ていますが音の輪郭がハッキリしないので、フレーズをハッキリと聞き取ることができません。リンゴはベーシックトラックではコンガを叩いて、ブレイク時の「ドン」はオーバーダビングではないでしょうか。

冒頭の「ミスターアァァァ、ムゥゥンラーイ」ってシャウトは、てっきりビートルズ独自のものだと思ってましたが、オリジナルまんまに歌ってたんですね。オリジナルのヴォーカルは歌いまわしがクセ強めなのに対し、「オリジナルはオリジナル、俺は俺」の通常運転のヴォーカルを聴かせてくれます。ジョンとポールがハモっているAメロでは、2人のヴォーカルがダブルトラックになっています。2人のハーモニーが響き合っているのに加え、ダブルトラックの効果も相まって、もっと大人数でうたっているような重厚感があります。ジョンのソロパートをシングルトラックにしたことで、Aメロの重厚感との対比が鮮やかになって、聴いていて「ハッ」とさせられる効果的な編集だと思います。

Beatles For Sale』収録曲の中ではあまり評判が良くないようなんですが、個人的にも嫌いじゃないけどそれほど良いとも思っていません(苦笑)。自分はこの曲を聴くと、夏の夕暮れ時にビアガーデンのステージでバンドが演奏している情景が目に浮かびます(笑)。まぁ、デビュー前の彼らは酔っ払い相手に演奏していたんですから、ビアガーデンで演奏している情景ってのは的外れではないですよね。

Dr. Feelgood & The Interns