本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

What You're Doing

アルバム中、最もレコーディングが難航した曲です。1964年9月29日にレコーディングしたものの翌30日にリメイクされて、10月26日に再度リメイクされてようやく完成しました。10月26日は『Beatles For Sale』のレコーディング最終日で、その日の最後にレコーディングしたのがこの曲でした。このアルバムに収録されたカバー曲の多くは、少ないテイク数で完成したんですけど、その貯金がなければこの曲完成しなかったかもしれませんね。ボツになった第11テイクはYouTubeで聴くことができます。

ビートルズには珍しく長めのドラムソロから始まります。当時バスドラはミュートしてなかったんですね。あとスネアの「タカタッ」は結構難易度が高いと思います。第11テイクでは必要最低限って感じだったポールのベースですが、完成版ではキッチリと仕上げてきたようです。こちらも短いながらソロパートがあって、いいアクセントになっていると思います。ジョージは楽曲全編でリッケンバッカー360/12を演奏しています。音自体の個性が強いので目立ってはいますが、フレーズ自体は唸るほどのものではないかと思います。間奏は前作の「Anytime At All」と同じように、12弦ギターとピアノで構成されています。アンサンブルの巧みさが際立つ秀逸なフレーズで、リメイクした甲斐があったなぁって思います。ジョンは多分J-160Eを鳴らしてるんでしょうけど、殆ど聴こえてきません。

第11テイクではジョンとポールのハモリを聴かせようとしていましたが、良い出来とは言えないものでした。結局ジョンとのハモリを断念して、ポールのヴォーカルをメインにすることでスッキリした仕上がりになりました。こんな風に余分なものをバッサリ削ぎ落すことができるのも、センスのなせるワザかなぁって思います。ポールのヴォーカルは脱ブルース臭の最初期の曲で、次のアルバムの「Another Girl」あたりにこの傾向が受け継がれていきます。

苦労して完成させた割りには、あまりパっとしないなってのが率直な感想です。しかしながら、自分のスタイルを試行錯誤して一歩踏み込んだ、勇気あるプロセスと言える曲ではないでしょうか。この曲のエンディングのフェイドアウトと入れ替わりに聴こえるのは、「Drive My Car」のイントロです。