本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Every Little Thing

先日このブログの更新履歴を確認したら、『Beatles For Sale』のレビューにこの曲が抜けていることに気付きました(汗)。一応レビューは書き終わっていて、後はアップするだけだったのですが、うっかり「I Don't Want To Spoil The Party」のレビューをアップしていました(爆)。

シングルを念頭にポールが作ったそうですが、シングルカットは叶わずアルバムのB面4曲目という地味なポジションに収まった曲です。昨年末に公開された『Get Back』の中で、当時計画していたライブのセットリストの検討中にジョージが唐突にこの曲を演奏するシーンが収録されていました。ビートルズがライブ演奏をしていた頃のセットリストになく、しかも自分が書いた曲でもないのにジョージが歌いだしたのは驚きでした。

Aメロはジョンとポールがユニゾンで歌っています。ポール単独で作ったのではなく、ジョンも共作に近い形で関わっていたのかもなぁって思います。2人のユニゾンではありますが、ジョンの声の方が大きく聞こえます。サビはポールが上、ジョンが下に分かれて、ポールのパートの方が主旋律でしょう。耳に残るラインなので、シングルを狙って作った感がこの辺に表れています。

イントロや間奏で聞けるリードギターは12弦ギターっぽい響きですが、聞き慣れたリッケンバッカー360/12とは随分と音色が違うように思います。ジョージがレコーディングに遅刻したのでジョンがリードギターを弾いたと言う、この曲に関する有名なエピソードがありますが、12弦ギターのサウンドや演奏を聞く限り、ジョンがリードギター弾いてる説の信ぴょう性は高いと思います。ビートルズアメリカに初上陸した際、ジョンがリッケンバッカーに発注したリッケンバッカー325/12がレコーディングに使われた、恐らく唯一の曲だと思います。当初トレモロユニット付きだったのが、あまりにチューニングが狂うので、トレモロなしのフラットテールで納品されたそうです。先に325/12と書きましたが、トレモロユニットがないので正確には320/12になるそうです。360/12の煌びやかな音色と較べると、安っぽい音に聞こえます。聞き慣れた325の音色とも違った印象を受けますが、それは6弦と12弦の違いからかもしれません。

12弦ギター以外にはJ-160Eをアコースティックで演奏していますが、独特の金属音が聞こえるハードなストロークからジョンが演奏していると思われます。となると、ジョージが演奏している楽器が思い当たらず、遅刻かどうかはともかくレコーディングに参加していなかった可能性は高いと思います。この曲のレコーディングは1964年9月29日と30日に行われ、両日ともこの曲からレコーディングが始まっています。どちらの日もジョージが遅刻で不在の可能性はありますが、30日のレコーディングで楽曲をリメイクしているそうなので、ジョージは30日のレコーディングに遅刻してきたと言うことにしましょうか(笑)。

リンゴのドラムは、最初はキックから始まり徐々に手数が増えていきます。楽曲の盛り上がりを演出する、とても重要なパートです。場違いにも思えるティンパニーも効果満点で、メンバーが気まぐれで演奏したような楽器でも、しっかり戦力になっているのがビートルズの凄さです。ポールのベースは大人しめのプレーですが、エンディング近くのコード弾きは効果的で印象に残ります。ポールはピアノも演奏しており、ドラムと共に楽曲の盛り上がりに一役買っています。

シングルになりそこねて、レビューのアップも忘れられて、運が悪いとはこういうことでしょう(苦笑)。しかしながら、よくよく聴いてみると、色々なアイデアが盛り込まれた曲でダイヤの原石のような輝きがあると言うのは褒め過ぎか。ジョージは参加してないかもしれませんが、ビートルズらしさの濃度が濃い曲だと思います。