言わずと知れた、記念すべきビートルズのデビューシングル。
イギリスで17位と、デビューシングルとしては絶妙なチャートアクションで、
そこまで計算してエプスタインが買い占めたのであれば大したもんです(笑)。
この曲はポールが10代の頃に作曲したそうで、
当時の彼らのレパートリーの中では演奏しなれた部類に入ると思われ、
EMIのオーディション(初めてジョージ・マーティンの前で演奏した時)でも
演奏した事実がその証拠と言えるのではないでしょうか。
その時のドラムはピート・ベストで、曲の途中で変化を入れたり小細工してますが、
ドラマーとしては正直イマイチな印象がぬぐえません。
その後、正式なレコーディングではドラマーがリンゴに代わってますが、
ジョージ・マーティンを満足させることができず、
後日スタジオミュージシャンのアンディ・ホワイトがドラマーとして参加します。
ピートやリンゴのバージョンと比べるとダントツの上手さで、
個人的にはアンディ・ホワイトのバージョンが一番好きです。
ビートルズらしさを最も音で表現しているのがリンゴのドラムだと思っていますが、
その割にアンディがドラムのバージョンに違和感がありません。
恐らくそれは、この曲がシャッフルのリズムで演奏されており、
ハネ気味のリンゴ独特のドラムの雰囲気を何となく連想させるからではないか、
なんてことを思っています。
ジョージのギターとポールのベースに特筆すべきことはありませんが、
フレーズはともかく、ベースを弾きながらメイン・ヴォーカルってのは、
なかなかインパクトがあったのではないかと思います。
まぁ映像を見ないことにはそんなこと分からないのですが(笑)。
録音を重ねるにつれブルージーさが薄れていってますが、
これは後のポールの楽曲で度々起こっていることで、
一番最初のレコーディングからこういう傾向が出ているのが面白いなと思います。
この曲のブルース要素はポールのヴォーカルとジョンのハーモニカに顕著だったんですけど、
アンディのバージョンでは、いずれもブルース臭が随分と薄まっています。
恐らくそれはジョージ・マーティンのアドバイスではないかと思うのですが、
おかげで未だに古臭さを感じないスマートな仕上がりになっていると思います。
当初「P.S.I Love You」がシングルA面候補だったのが、
過去に同タイトルのシングル曲が複数あったことで断念した経緯があるようなんですけど、
この選択は大正解だったんだろうなと思います。
デビューシングルは、アーティストの存在を世に知らしめる役割がありますが、
ビートルズが「既存のアーティストとは何か違う」
「Love Me Do」は、耳にした人にそう思わせる楽曲だったのではと思います。
ドラム:ピート・ベスト
ドラム:リンゴ
ドラム:アンディ・ホワイト