1963年6月26日、ジョンとポールがツアー中のホテルで曲を書いて、7月1日にレコーディングされました。同じ日にシングルB面の「I'll Get You」もレコーディングされています。
驚くのは、2トラックのオリジナルテープが早々に処分されてしまっている事です。おかげで翌年にこの曲のドイツ語バージョンをレコーディングした際は、リズムトラックからレコーディングし直すことになってしまいました。2トラックのオリジナルテープが処分されただけでなく、7月1日のレコーディング記録が一切残っていないため、「She Loves You」「I'll Get You」のレコーディングに何テイク費やしたのか明らかになっていません。ただ、当初夕方5時半までの予定だったレコーディングが、10時45分まで延長されたと言われています。
この曲は複数のテイクを繋ぎ合わせて完成したと言われています。この曲が最初にCD化された際、"pride can hurt you too"の直前の繋目が明らかになりましたが、他にも何か所か繋いでるようです。どこに繋目があるか教えてくれているブログもありますが、それでもよくわかりません(汗)。前述の通り、1963年6月26日にできたばかりの曲を5日後の7月1日にレコーディングしました。7月1日のレコーディングが当初から予定されており、それに間に合わせるように曲を書き上げたってとこでしょう。ジョージ・マーティンに最初のランスルーを聴かせて、サビを冒頭に持ってくるとか、Yeah,Yeah,Yeahを掛け合いにするっていうポールのアイデアを思いとどませたりして、我々が知ってるような形に楽曲が仕上がったのがレコーディング当日だったんだろうと思います。当然十分なリハーサルができるはずもなく、OKテイクとなるようなランスルーが1つもなかった、もしくは最初から繋ぎ合わせるのを前提に楽曲を区切ってレコーディングを進めたのではと思います。OKテイクが複数のテイクを繋ぎ合わせて完成したものであることから、オリジナルの2トラックテープを残す必要性がないので処分された...のかな。この辺、勝手な妄想です(笑)。この曲のレコーディングについての重要な情報としては、セカンド・エンジニアを務めたジェフ・エメリックによれば、ヴォーカルと演奏は別録りだったことです。
前述の通り、レコーディング当日に完成したような曲ですから、事前にリハーサルができるわけもなく、全体的にアレンジは非常にシンプルです。シンプル極まりないベースのフレーズも、時間があれば色んなアイデアを盛り込めたかもしれませんが、基本的なプレーを正確に弾くポールの良さがしっかりと出ています。ジョージはカントリー・ジェントルマンを6月に入手しており、この曲のレコーディングで早速使用しています。コードを鳴らすプレーが中心ですが、サビの最後に聴ける2音のフレーズは独創的かつ効果的で、短い時間でこんなフレーズを思いつくもんだと感心します。ジョージのギターの音に隠れてジョンのギターの音は聞き取り難いですが、アップストロークを強調して弾いているようです。音色からJ-160Eをアンプに繋いでいると思われます。これまでのレコーディングでは、J-160Eをアンプに繋いでいても、ヴォーカルマイクが生音を結構拾っていましたが、この曲に関しては全く聞こえません。前述の通り、ヴォーカルと演奏が別録りだったことを裏付ける証拠と言っていいでしょう。それに加えて、写真画像のライセンス販売でおなじみの「Getty Images」に、1963年7月1日のレコーディング時の写真が何点か保存されており、ジョンがJ-160Eをアンプに繋いでいるのが確認できます。と言うことで、ジョンはJ-160Eを使用ってことで間違いないと思います。この日の別の写真では、ジョージがカントリージェントルマンを使用していることも確認できます。リンゴのドラムは楽曲の最初から最後まで絶好調。時間がないなか勢いだけで叩いたのかもしれませんが、イントロのタムの回しから始まって、テーマで聴ける頭抜きの2拍3連のプレーとか、言うことなしの素晴らしいプレーを連発しています。アレンジこそシンプルですが、4人のメンバーが一体となって、バンドの素晴らしさを体現した演奏のレベルは非常に高いです。
この曲については他にも書きたいことがあるので、今回はここで終了します。