本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Thank You Girl

この曲は「From Me To You」と同じく1963年3月5日にレコーディングしています。

 当日は他にも「One After 909」がレコーディングされたものの、後に『Anthology』に収録されるまで陽の目を見ることはありませんでした。「What Goes On」もレコーディングしたかったようですが、時間が足りずに断念したそうです。「From Me To You」の記事で書きましたが、当初はこちらをシングルA面に考えていましたが、後からできた「From Me To You」の方が出来が良かったため、こちらがB面に回りました。

3月13日にハーモニカをオーバーダビングしていますが、その時のレコーディングにはジェフ・エメリックがセカンド・エンジニアとして参加しています。彼の発言によると、この曲は複数のテイクを繋ぎ合わせて完成しているようで、途中明らかにテンポが変わっているとのこと。エンディング近く1分40秒あたりで速くなっているのは比較的わかりやすいですが、それ以外は正直よく分かりません。3月13日はジョンは酷い風邪だったそうで、レコーディングは難航したようです。ツアーの合間をぬってのレコーディングでしたが、3月13日の前後の公演はジョン抜きでステージに上がったそうです。それはそれでどんな感じだったのか見てみたい気がします。

ジョージはデュオ・ジェットでリズムを刻み、ジョンはJ-160Eでコードを鳴らしって感じのシンプルなプレーに徹しています。ポールも基本的に一拍と三拍のみのシンプルなプレーですが、前述の1分40秒あたりのテンポが速くなる直前にミストーンが確認できます(苦笑)。3人と対象的にリンゴは派手なフレーズが多く、エンディング前は彼の独壇場です。リンゴはともかく、他の3人のプレーがあまりにシンプルだったので、ハーモニカで彩りを加えようとしたのは分かる気がします。

前述の通り、当初はシングルA面予定だったってことでキャッチーな楽曲ですが、「From Me To You」と比較するとB級感は否めません。ただ、初期ビートルズの特徴の一つであるジョンとポールのデュエットは、「From Me To You」に負けず劣らず良い感じに仕上がってます。特にポールのハイトーンのヴォーカルのインパクトは絶大で、新しいファンを開拓するのに相当貢献したのではないでしょうか。