本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Norwegian Wood(This Bird Has Flown)

1965年の1月、ジョンとジョージ・マーティンが奥さん同伴で(ジョージ・マーティンは婚約者を同伴)スキー旅行に出かけた際、ジョージ・マーティンが骨折して入院したそうです。お見舞いに訪れたジョンが、出来たばかりの「Norwegian Wood」を弾き語りでジョージ・マーティンに聴かせたという逸話があります。ギターを抱えてお見舞いに行くか~?と、この逸話の信ぴょう性を疑ってますが、イギリスではギターを抱えてお見舞いに行くのは当たり前の行為なのかもしれません(笑)。

アルバム『Rubber Soul』のレコーディングの初日、1965年10月12日に「Run For Your Life」に続いてレコーディングされました。ベーシックトラックのレコーディングはわずか1テイクで終了し、オーバーダブを重ねてその日のうちに完成しています。このテイクは『Anthology』に収録されています。淫靡な雰囲気に満ち溢れて、この曲の歌詞の世界観を的確に表現した仕上がりだと思うのですが結局ボツになります。リメイクは1965年10月21日に行われ、第4テイクにオーバーダビングを重ねて完成します。第2テイクまではシタールを前面的に打ち出したサウンドだったのが、第3テイクでキーを上げてアコースティック・ギターサウンドの中心になったことで、透明感溢れるテイストにガラっと様変わりしました。

そのアコースティック・ギターは、ジョンのJ-160Eと思われます。低音弦で歌のメロデイをなぞりながら高音弦でコードを鳴らしています。強めのピッキング音にもかかわらず、うるさいとは全く感じません。もう一本聞えるアコースティック・ギターは、ジョージがフラムスの12弦ギターを演奏しているようです。「ン・チャチャ、ン・チャチャ」と控えめにリズムを刻みながら、時折りジョンとフレーズを合わせています。ジョンの曲では何故かおとなしめのポールのベースですが、この曲では自由奔放に演奏しています(実は考え抜いたフレーズかもしれませんが)。『Rubber Soul』から使い始めたリッケンではなく、ヘフナーを演奏しているようです。ホロウボディのヘフナー特有のサウンドが、ベースのフレーズと相まって独特の浮遊感を生み出しています。リンゴは出番が少なく(音は残ってなくても、ハイハットでガイドのリズムを刻んでると思いますが)、間奏前まではサビでうっすら聞えるハンドクラップらしき音のみ。間奏後はハンドクラップらしき音に加えて、バスドラとタンバリンを演奏しているようです。バスドラをキックするタイミングが絶妙で、出番こそ少ないですがセンスの塊のような演奏です。

いつもの楽器編成でも充分リッチなサウンドになっていますが、それにインド楽器のシタールが加わって、これまでのビートルズにはないテイストの作品に仕上がりました。シタールはメロディをなぞりつつ、時折りギュイーンと低い音を鳴らして、北欧の国名がタイトルになっている曲にインド風味の味付けをしています。ジョン曰く「シタールが使われたポップミュージック史上初の曲」とのことで、その真偽はさておき(笑)シタールが使われたビートルズ史上初の曲であることは間違いありません。ジョージとシタールの出会いが映画『Help!』だったことを考えると、ジョージがシタールを演奏するようになって大した日数は経っていません。ジョージ的にはドキドキもんだったのではないでしょうか(笑)。エンジニアにとっても、シタールの音を綺麗に録音するのに難儀し、大変なレコーディングだったようです。

ジョンのヴォーカルは淫靡な雰囲気が溢れていた第1テイクから一転して、冬の早朝のように凛として清々しさを感じます。自分で書いててよく分かりませんが(爆)、要は自身の秘密(浮気)が題材の歌とは思えないということです。ポールが手助けしたというミドルのパート、主旋律に付かず離れずのハーモニーが、イイ感じに放って置かれてるような心地よさを感じます。ジョンによると1人で作り上げたってことなんですが、この手の食い違いはビートルズあるあるですね(苦笑)。

「Drive My Car」に続いて、中後期以降のビートルズについていけるか試金石となる曲だと思います。ちなみに自分は2曲とも数年間はまったく良さが分かりませんでした(爆)。