本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Drive My Car

アルバム『Rubber Soul』のレコーディング期間の2日目、1965年10月13日にレコーディングしています。この日のレコーディングは深夜の12時過ぎまで続き、ビートルズ史上初の翌日にまで及ぶレコーディングとなりました。唯一最後まで演奏した第4テイクに様々なオーバーダビングを加えてこの曲は完成します。

変拍子に聞えるイントロのギターは、仕掛けは単純でウラから始まっています。イントロのほか、間奏とエンディングのスライドギターはポールが演奏しており、愛用のカジノを使用していると思われます。この頃になると、ポールはアレンジも仕上げて曲を持ち込んでいたそうですが、バッキングのギターリフはジョージの提案が採用されたそうです。オーティス・レディングの「Respect」のベースのコピーと言うかオマージュで(苦笑)、要は影響を受けたフレーズと言うことです。このバッキングのギターは、ストラトキャスターを演奏しているようです。ベースはジョージのギターとほぼユニゾンのフレーズを演奏しています。リッケンバッカー4001の硬く締まったサウンドが、ジョージのギターとのユニゾン効果も相まって、本家の「Respect」以上にベースのサウンドが際立っています。イントロの最後に雪崩れ込んでくるリンゴのドラムも、裏からのフィルインです。スネアのチューニングが普段より高い気がします。この曲でジョンは楽器演奏をしてないらしく、タンバリンとカウベルはどちらもリンゴがオーバーダビングしていると思われます。"Baby you can drive my car~"のコーラス部だけ入るピアノはポールがオーバーダビングしたもので、楽曲をリッチに聴かせる短いながらも重要なパートです。

メロデイはこれまでの楽曲と明らかに異なります。ポールのパート、ジョンのパートともにDのキーに対するテンション同士でハモっており、ハモっているのか微妙な感じの気持ち悪い状態が続きます。"But you can do something in between"で加わる、ジョージのコーラスもテンションの徹底ぶり。"Baby you can drive my car~"も3部コーラスで、同じ音が続くジョンとジョージのパートに対し、ポールのパートだけ音が動きます。"Beep beep mm beep beep,yeah"も難しいハモリです。

「What You're Doing」「The Night Before」「Another Girl」で模索したサウンドが、1年かけてようやく花開きました。デビューから一貫して音楽のセオリーにとらわれない作品を作り続けた彼らですが、『Rubber Soul』以降その姿勢に益々拍車がかかります。今でこそカッコイイと思えるこの曲も、最初は良さが分かりませんでした。リアルタイムでも、この曲の良さが分からず脱落したファンの数は少なくなかったのではと思います。