本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

A Hard Day's Night

7枚目のシングル曲、かつ同名の映画のタイトル曲でもあります。リンゴの独り言が映画のタイトルに採用され、ビートルズはタイトルだけ決まっている曲を作るという課題を突き付けられますが、ジョンがその課題をクリアしました。レコーディングはアルバムのA面収録曲(映画挿入曲)の最後、1964年4月16日に行われました。9テイクを録音し、第9テイクがベストとして採用されています。

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McCartney III

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アルバムタイトルを見ると「McCartney」や「McCartneyII」との類似性を求めたくなりますが、ビートルズやウイングスの解散前後に制作したこれらのアルバムとは、似ているのはタイトルだけで全くの別物だと思います。ウイングス解散以降バンド名義で活動をしていないポールにとって、ソロアルバムを発表するのは全くの通常営業。プロデューサーやバックバンドを起用していないのが今作の特徴ですが、ポールの通常営業の範囲内と言って差し支えないでしょう。

当初は発表予定ではなかったと言う制作過程や、ポールがプロデュースしてるってことで(苦笑)、内容にはあまり期待していなかったのですが、これは良いアルバムじゃないですかね。ポール自身のパフォーマンスやサウンド自体の完成度が高い訳ではありませんが、良い曲が多くて聴いていて疲れない。何より、聴いていて楽しいってことに尽きるのではないでしょうか。

これまでのポールの活動を振り返ると、逆境時に名作を生み出しているので、そういう意味では昨年からのパンデミックはこれ以上ない逆境な訳で、ポールが名作を生み出すには申し分ない条件だったと言えます。ただ、今作に関してはポール自身が楽しんで制作したことが一番かと(笑)。過去にはポール自身が楽しんで制作した作品は、我々ファンには楽しくないことが多かったのですが(苦笑)、今作はポールが楽しんだことをファンも共有できる作品になってくれてホント良かった(笑)。

個人的なお気に入りは以下の通りです。

・Find My Way

・Women And Wives

・Lavatory Lil

・Slidin'

・Seize The Day

・Deep Down

『A Hard Day's Night』その2

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社会現象とでも言うべきイギリスでの大成功を追い風に、ビートルズの次なる目標は自ずとアメリカ市場に向けられました。ビートルズ以前のイギリスのビッグスター達が挑んだものの、悉く跳ね返された高い壁です。1964年2月1日に「I Want To Hold Your Hand」がビルボード誌のチャートでNo.1を獲得したことが追い風となって、決死の覚悟で臨んだ1964年2月のアメリカ初上陸は大成功に終わりました。「決死の覚悟」は少々大げさな気もしますが、ワシントンD.C.でのコンサートの開演前、嘔吐を繰り返しコンサートのオープニングをジョージに譲らねばならいくらい、ジョンは強烈なプレッシャーを感じていました。このエピソードから、ジョンがアメリカでの成功を強く望んでいたであろうことが伺えます。アメリカ初上陸での大成功に手ごたえを感じたであろうジョンが、アメリカ制覇に向けて勝負をかけた作品集がアルバム『A Hard Day's Night』です。

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『A Hard Day's Night』その1

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ビートルズの3枚目のアルバムにして、全曲が彼らのオリジナルで占められた初のアルバム、かつ全曲レノン&マッカートニー作で占められた唯一のアルバムでもあります。このアルバムの楽曲構成がそのようになったのは、今作が彼らの初主演映画のサウンドトラックアルバムであったが故の意図的なものだと感じております。別の言い方をすれば、アメリカ制覇に向けて勝負をかけたのではないかと言うことです。今回、このアルバムのレビューを書くにあたり、今まで気にもしていなかった映画制作までの経緯を調べたら、色々と興味深いことがありました。ひょっとしたら、ファンであれば周知の事実ばかりかもしれませんが、そこは生暖かい目で見ていただければと思います(笑)。

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Matchbox

カール・パーキンスが1957年にリリースした曲のカバーです。カール・パーキンスビートルズのメンバー4人に多大な影響を与えたミュージシャンで、この曲の他にも「Honey Don't」と「Everybody's Trying To Be My Baby」をカバーして発表しています。また、ビートルズ解散後に発表された『Live At The BBC』や『Anthology』では、「Sure To Fall」「Glad All Over」「Lend Me Your Comb」を演奏していたり、ジョンは『Live Peace In Toronto 1969』で「Blue Suede Shoes」を演奏しているし、ポールは『Tug Of War』収録の「Get It」で共演しているし、とにかくその傾倒ぶりが伺えます。

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Slow Down

オリジナルはラリー・ウイリアムズが1958年に発表したシングルのB面曲で、A面は「Dizzy,Miss Lizzy」でした。ちなみに「Dizzy,Miss Lizzy」のタイトルですけど、オリジナルはDizzyとMissの間にカンマが入りますが、ビートルズのカバーではカンマはありません。ラリー・ウィリアムズの「Slow Down」に話を戻すと、サックスとピアノがフィーチャーされた賑やかなダンス・ミュージックって趣きです。ビートルズのバージョンはサックスこそ入っていませんがオリジナルに忠実に演奏しています。ただし、キーを下げて演奏していますが。この曲がレコーディングされたのは1964年6月1日、アルバム『A Hard Day's Night』のB面収録曲のレコーディングの初日でした。オーバーダビング含めて6テイクでレコーディングは終了、後日ジョージ・マーティンのピアノが追加されています。

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I Call Your Name

1963年にビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタズに提供した曲のセルフカバー。ビリー・J・クレイマーのバージョンはシングル「Bad To Me」のB面曲としてリリースされ、「Bad To Me」はイギリスのチャートで1位を獲得しています。

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