本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

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カール・パーキンスが1957年にリリースした曲のカバーです。カール・パーキンスビートルズのメンバー4人に多大な影響を与えたミュージシャンで、この曲の他にも「Honey Don't」と「Everybody's Trying To Be My Baby」をカバーして発表しています。また、ビートルズ解散後に発表された『Live At The BBC』や『Anthology』では、「Sure To Fall」「Glad All Over」「Lend Me Your Comb」を演奏していたり、ジョンは『Live Peace In Toronto 1969』で「Blue Suede Shoes」を演奏しているし、ポールは『Tug Of War』収録の「Get It」で共演しているし、とにかくその傾倒ぶりが伺えます。

 この曲をレコーディングしたのは、「Slow Down」と同じく1964年6月1日。チャック・ベリーとイギリスツアー中だったカール・パーキンスを、この日のレコーディングに招待したそうです。カール・パーキンスはレコーディングには立ち会ったものの、レコーディングには参加していないようです。本人目の前にカバーを演奏って、なかなか大胆なことするなと思うのですが、ビートルズのメンバーは特に気にしなかったんでしょうかね。

オリジナルはかなりハードな演奏で、メンバーの中ではジョンが歌うのが一番しっくりくると思うのですが、先代ドラマーのピート・ベストがレパートリーにしていた流れからか、リンゴがヴォーカルを担当しています。ビートルズは基本的にオリジナルに忠実に演奏していますが、オリジナルは間奏を2回挟むのに対し、ビートルズのバージョンでは1回だけなのが一番大きな違いではないでしょうか。

冒頭のギターリフは、ステレオ盤で聴くと左右のチャンネルから聴こえます。左がカントリー・ジェントルマン、右がリッケンバッカー325ではないかと思われます。左チャンネルのカントリー・ジェントルマンはイントロとエンディングのみの登場で、それ以外はリッケンバッカー360/12にとって代わられます。12弦の響きが意外なくらいこの曲にマッチしていますね。右チャンネルのリッケン325の方は歌中も弾いていると思うのですが、ピアノに隠れて殆ど聴こえてきません。間奏のリードギターはバッキングとは別にオーバーダビングしたものだと思いますが、冒頭はリッケンの音が複数聴こえており、複数のテイクをミックスしたものじゃないかと思います。ジョンらしいタッチのフレーズで、途中で符割りが怪しくなるのもジョンらしい(苦笑)。後半持ち直して、何とかまとめています。ポールは決まったフレーズを繰り返してるようで、実はちょっとずつフレーズを変えています。リンゴはシンバルを鳴らしながらの激しいプレーですが、よく聞くと左右からスネアの音が確認でき、この曲でもドラムをオーバーダビングしていると思われます。ドラムを叩きながらヴォーカルを録音したそうですが、ダブルトラックのヴォーカルを録音する際もドラムを叩いてるのかもしれないなぁって思ってます。

こういうハードな曲はリンゴに合わない気もするけど、頑張って歌ってるんじゃないですかね。上手いとは思いませんが、堂々とした歌いっぷりだと思います。リンゴをはじめメンバー全員の熱演で、これぞロック・バンドって仕上がりになっていると思います。僕はこの曲かなり好きです。後年この曲をカバーしたポールも、間違いなく好きなんだろうなって思います。

カール・パーキンス