本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Hold Me Tight

1963年2月11日、アルバム『Please Please Me』のレコーディングの際13テイク録音されました(そのうちテイク9以降は、テープ編集用のテイク)。結局アルバムには収録されず、アルバム『With The Beatles』用の曲として再度レコーディングされることになりました。レコーディングは1963年9月12日に行われ、テイク1から始めるのではなくテイク20からレコーディングを始めています。恐らくリメイク感を強調したくて、テイク数を切り上げたのではないかと思います。結局テイク26とテイク29を編集して曲は完成しています。

 テイク26がベーシックトラック、テイク29がオーバーダビングと思われますが、オーバーダビングが1回の割りに色んな音が詰め込まれています。どうすればこれが実現できるのか考えてみました。ジョージがギターリフをオーバーダビングしているのがポイントで、そのためハンドクラップとコーラスにジョージは参加していないと思われます。ということでハンドクラップはジョン、ポール、リンゴの3人が担当。ジョンとポールはハンドクラップしながらコーラスもすれば、テイク29だけで全てのオーバーダビングを実現することができます。ただし実際問題として、ハンドクラップを録音しながらコーラスも録音できるんだろうかって疑問は残ります。ポールはコーラスだけでなくハモリの部分も担当しています。

この曲のキーはFメジャーなんですが、ギターやベースで指板を抑える方の手を大きく広げるフォームが多くてリフが弾きにくいです。これがキーをEメジャーにすると、Fメジャーに比べると開放弦を多く使えて演奏しやすくなります。と言うことで、演奏時のキーはEメジャーで、テープの回転操作で半音上げたんじゃないかと思ってました。時折り聞こえるギターのストロークのサスティンが妙に短く、この辺もテープの回転操作をしたのじゃないかと思う根拠であります。しかしながら、Youtubeにアップされているアウトテイクを聴くと、レコードと同じように演奏してるんですよね。流出したアウトテイクを再生する時にテープの回転操作をした、と言うのは考えられなくもありませんが、実際の演奏時もFメジャーのキーだったと考えるのが自然ですよね。

レコーディングの開始からリリースまでの経緯を見ると、作曲者ポールのこの曲への強い思い入れのようなものを感じることができます。コード進行はキーFメジャーのダイアトニックコードを中心に、時折ノンダイアトニックを織り交ぜアクセントをつけています。とりわけBメロで登場するA♭(A♭7)はポール的に会心のコード進行だったんじゃないでしょうか。ただ、個人的な感想を述べると、悪い曲とは思っていませんが、それほど良い曲とも思ってないのが正直なところです(苦笑)。