本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Money (That's What I Want)

アルバムのラストナンバーは、前作『Please Please Me』に引き続きカバー曲です。オリジナルはバレット・ストロングが1960年に発表し、アメリカのチャートで23位を記録しています。

 ビートルズはこの曲をデッカ・オーデションでも演奏しています。その時はジョンのヴォーカルが良さを発揮できていないのが残念で、演奏は何となくストーンズのカバーしたバージョンに似ている気がします。

レコーディングは1963年7月18日、7月30日、9月30日の3回に渡って行われています。7月18日にピアノ以外の楽器とヴォーカルの録音、7月30日と9月30日はピアノのオーバーダビングが行われています。モノラル盤とステレオ盤でピアノの演奏が異なっており、7月30日のピアノ演奏がモノラル盤に、9月30日の演奏がステレオ盤に採用されていると思われます。モノラル盤とステレオ盤、ベーシックトラックは同じテイクと思われますが、ミキシングが異なるので別テイクのように聴こえます。違いが顕著なのはイントロ部分、ステレオ盤ではガイドリズム、ギターリフ、生ギターの音がカットされていたり、音量が抑えられたりしています。

ジョンはリッケンバッカー325、ジョージはJ-160Eを使用していると思われます。ライブ演奏ではギターリフをジョージが弾いているのですが、レコードのギターリフは明らかにリッケンの音なのでジョンがリフを弾いていると思われます。ポールのベースはもっと動きがあっても良さそうなものですが、あまり動きのないフレーズです。ピアノのリフとのバランスを考えたのかもしれません。リンゴのドラムは、エンディング近くまでシンバルは鳴らさず、バスタム連打にスネアでアクセントをつける迫力のあるプレーです。そしてピアノはジョージ・マーティンが演奏しています。流石、ジョージ・マーティン先生が演奏するとピアノの重厚さが違って聴こえますねぇ(ホンマか)。

この曲、ジョージ・マーティン先生含む全メンバー、非常に濃厚な演奏をしていると思うのですよ。が、しかし、ジョンの圧倒的なヴォーカルを耳にすると、申し訳ありませんが楽器演奏なんかどうでもよくなってしまいます(汗)。いや、メンバーの演奏があってのジョンのヴォーカルだってことは重々承知しているのですが(苦笑)。激しくラウドなヴォーカルなんですが、全く暑苦しくないのですよ。若いころのジョンのシャウト特有の金属的な響きが非常に心地よいです。ポールとジョージのコーラス(特にポール)も非常に頑張っているのですが、張り合う相手が悪すぎたと言うしかありません。とにかく、ジョンの生涯最高のヴォーカルはこの曲だと断言します。

と言うことで、ジョンの生涯最高のヴォーカルで幕を閉じた『With The Beatles』。僕の知る限り、日本で不当に評価が低いと感じるのですが、規制のポップミュージックの枠に収まりきらない、ビートルズならではの自由奔放さに満ち溢れた愛すべき作品ではないでしょうか。

Barrett Strong

The Rolling Stones

デッカオーデション