本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

I Need You

『With The Beatles』から3枚ぶりに収録されたジョージのオリジナル曲です。アルバムで数えると3枚ぶりですが、期間で数えると約1年半なので、それほど期間が空いてる訳ではありません。映画『Help!』のエンディング、「セビリアの理髪師」をバックにジョンを中心に盛大にふざけてる中、"I Need You By George Harrison"と連呼するジョージがとても愛らしく感じられます。

映画『Help!』のサウンドトラック盤のためのレコーディングの初日、1965年2月15日のセッションで3曲目に演奏されています。ほかのメンバーやジョージ・マーティンから一定の評価を得たからこそ、レコーディング初日に演奏されたのでしょう。ジョンとポールの作曲活動が難航していたのかもしれませんが、いくら曲数が足りなくてもビートルズとしての基準に達してないと採用されないでしょうから、ジョージは頑張って準備していたんだろうなと思います。

ジョージはバイオリン奏法を披露しています。「Yes It Is」と同じくヴォリュームペダルを駆使した演奏ですが、レコーディング順では「I Need You」の方が先で、レコーディングでヴォリュームペダルを使用した最初の曲ということになります。それ以上に楽器演奏で印象的なのがポールのベースです。ビートルズの楽曲において、ヘフナーのベースは他の楽器の音に埋もれることが多いのですが、まるでリード楽器のようにこの曲では存在感があります。ほぼ全編8分弾きで手数が多く、オクターブ違いのAを織り交ぜたフレーズは特に印象的です。

よく分からないのが、ドラムとパーカッションです。ジョージ・マーティンの著書『Playback』によると、ジョンがバスドラとスネア、リンゴがギターのボディをパーカッション代わりに叩いてるそうです。確かにドラムはハイハットやシンバルの類は使っておらず、ジョンがドラムを叩いてる信ぴょう性は高いですが、リンゴがドラムを叩いてない理由が分かりません。リハの時点で色々試して、行き着いた結果なんですかね。また、なぜリンゴはギターのボディではなく、スタジオ備え付けのパーカッションを叩かなかったのか。スタジオ備え付けってのは、こっちの思い込みで、そもそも常備されてなかったのかもしれません。と言うことで、ジョンがドラムを演奏しているのであれば、クラシックギターもジョージが演奏していると思われます。

これまでのジョージ・ヴォーカル曲の武骨な歌い方とはガラっと変わって、楽曲やバックのサウンドに見合ったマイルドな歌い方です。カバー曲と違ってお手本のないオリジナル曲の歌い方について、ジョージなりにスタイルが確立し始めたのかもしれません。上手いとは言えませんが、ジョージならではの個性が感じられるヴォーカルです。

セビリアの理髪師