本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Act Naturally

アルバム『Help!』収録曲で最後に録音された曲です。アルバムに収録するリンゴのヴォーカル曲として「If You've Got Trouble」が録音されていましたが、出来が良くないと言うことでボツになったため、急遽「Act Naturally」がレコーディングされました。評判のよろしくない「If You've Got Trouble」ですが、個人的には「Act Naturally」より好きなんですけどね(苦笑)。なお「Act Naturally」を録音した1965年6月17日に「Wait」も録音したのですが、アルバム『Help!』には収録されませんでした。

この曲のオリジナルは1963年にBack Owensが発表し、アメリカのカントリー・チャートで1位を獲得したそうです。前も同じことを書いたのですが、カントリー・チャートのように音楽ジャンル限定のランキングの1位ってのは、アメリカ国民に広く浸透していたんでしょうか。ビートルズはオリジナルの雰囲気そのままにカバーしていますが、曲の構成とかリードギターのフレーズとかそのまんまのコピーではありません。

ジョージはグレッチ・テネシアンを演奏していると思われます。深みには欠けますがカラッとした音色は、カントリー調のギターにはピッタリです。前述のとおりオリジナルのまんまコピーではなく、テイストのみをコピーしたって感じですね。ジョージはリードギターをオーバーダビングして、同じフレーズを重ねたり違うフレーズを演奏して変化をつけています。マーク・ルウィーソンの著書「The Beatles Recording Sessions」によると、ジョージがアコギを演奏しているらしいのですが、だったらジョンは何をしていたんだ?J-160E特有の金属音が聞えるのでジョンが演奏してると思う一方、途中ジョンには珍しいストロークが聞えるので、やっぱジョージかもしれんとも思っています。ベースは割とオーソドックスな演奏ですが、間奏の途中でギターとユニゾンのフレーズを演奏するなど、センス良く変化をつけています。リンゴはテンポの速いシャッフルを軽快に叩いてます。リンゴは何やらオーバーダビングしており、スティックを小気味よく打ち鳴らしてるように聞えますが、何の音かは定かではありません。

リンゴは実に気持ち良さそうに歌ってます。オリジナルのBack Owensと声質が似ており、リンゴも歌いやすかったのではないでしょうか。上のパートはポールが担当していますが、リンゴとポールがハモるのはビートルズの全作品中これだけ、貴重な楽曲だと言えます。貴重ついでに言うと、ビートルズがカバー曲をレコーディングしたのはこれが最後。後年『Let It Be』に「Maggie Mae」が収録されていますが、レコーディングの意思を持って演奏したものではないでしょう。アメリカや日本ではA面曲としてシングルカットされており、しかもB面曲は「Yeseterday」!!「Yeseterday」をシングルB面に追いやる偉大な一曲です(笑)。

Back Owens