本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

It's Only Love

作曲者であるジョンに評判の悪い曲で有名です(苦笑)。本人的にはアルバムの穴埋めとして、仕方なしにレコーディングしたってとこでしょうか。アルバム『Help!』収録曲で最後にレコーディングされたのが「Act Naturally」で、この曲は最後から2番目にレコーディングされた収録曲です。仕方なしにレコーディングしたってのは、あながち的外れではないかもしれません。1965年6月15日に、日本の「ミュージックライフ」誌がEMIスタジオでレコーディング中のビートルズを取材しています。その日にレコーディングしていたのが、この「It's Only Love」です。

イントロはJ-160Eでスタートして、12弦ギターのフーテナニーが続きます。12弦ギターはカポタストを使っていますが、ビートルズカポタストを使うのはこのアルバムのレコーディングからだと思います。エレキギターは少なくとも3本レコーディングしています。コードをカッティングしているのが1つ、単音のフレーズを演奏しているのが2つで、そのうち1つには強くトレモロがかかっています。コードカッティングがストラトキャスター、単音フレーズのナチュラルな方がテネシアンかなと思います。トレモロがかかってる方はギターの種類は正直わかりません。。ベーシックトラック録音時にアコギ2本をジョンとジョージが演奏して、エレキ3本をジョンとジョージが分け合ってオーバーダビングしたのでしょう。J-160Eとフーテナニーのコンビネーションは効果的だと思いますが、エレキは3本も必要ないように思います。楽曲への自信のなさを、楽器の数で何とか誤魔化そうとしたんでしょうか。ドラムは「Anna」や「All I've Got To Do」と同じパターンですが、この曲ではリムショットなのでそれが分かり難いです。ドラムに合わせるようにポールのベースもドッシリした音を出しています。アコースティックなテイストの曲の割りにリズム・セクションは結構ハードで、ビートルズの楽曲にはよくあることです。

ヴォーカルはジョンの独壇場です。ヴァースではハスキーで脱力したヴォーカル、コーラスでは一転してパワー全開(いや、八分目くらいか)、ダブルトラックの効果も相まってメリハリつけています。ジョンの脱力系ヴォーカルはこれが初登場。次作の「Girl」にこの系譜は受け継がれていると思っていますが、いかがでしょうか。

作曲者であるジョンのモチベーションが低かったのか、随分と雑な仕上がりです。「ミュージックライフ」の取材で調子が狂ったのでなければよいのですが(苦笑)。たくさん使われているギターをもう少し整理すれば、また違った仕上がりになったのではと思います。