本家☆にょじやまラーメン(音楽味)

ビートルズを中心に、音楽素人のディスクレビューです。

Dizzy Miss Lizzy

ビートルズのレコードのアメリカでの販売元であるキャピタル・レコードが独自に編集したアルバム、『BeatlesⅥ』の収録曲が2曲足りないことから、「Bad Boy」と共に1965年5月10日に録音されました。この2曲は同じような楽器編成で演奏されています。2曲とも『BeatlesⅥ』に収録されたのに加え、この曲は英国オリジナルの『Help!』にも収録されました。「Bad Boy」と同じくラリー・ウイリアムズのカバーですが、オリジナルのタイトルはDizzyの後ろにカンマがはいる「Dizzy,Miss Lizzy」です。この年の夏のツアーやPlastic Ono Bandとしてトロントで演奏した時のセットリストにも入っており、ジョンのお気に入りであるのは間違いありません。

ラリー・ウイリアムズのオリジナル・バージョンは、ギターよりもピアノやサックスが前面にでたダンスミュージックに仕上がっているのに対し、ビートルズのカバーはロックテイスト強めに仕上がっています。ジョージが弾いているギター・リフは、オリジナルどおりのフレーズではありません。この辺の意図は分かりませんが、オリジナルのテイストは引き継いでいるので、フレーズが少々違っても大した問題ではないのかもしれません。ライブ演奏では、ギター・リフをオリジナルと同じようにイントロや間奏でしか弾いていませんが、レコードでは楽曲全編で延々と繰り返しています。途中ギター・リフを弾くタイミングが分からなくなったのか、自信なさげに弾いてるのがリスナーにも伝わってきます。案の定、弾くタイミングを間違えてますし(苦笑)。常識的に考えてOKテイクになるはずないのですが、キャピタル編集のアルバム収録曲としてレコーディングしているので、メンバー的にはやっつけ仕事だったのかなぁと思っています。

ジョンは低音のギターリフを演奏しているようですが、ほかの楽器に追いやられて微かにしか聞こえてきません。ポールのベースはジョンのギターと同じようなフレーズを演奏していますが、2回目の間奏の時に間違ったのでは?と思える怪しいフレーズも聞えます。リンゴはシンバルを打ち鳴らし続けるハードな演奏で、フィルインもスピード感のある小気味よいプレーです。同じ日に録音した「Bad Boy」と同様にオルガンとエレピをオーバーダビングしています。「Bad Boy」と同じく、2つの楽器の音の違いがイマイチ分かりませんが(汗)。

楽器演奏は少々怪しいところがありますが、それを帳消しするくらいジョンのヴォーカルは素晴らしい。がなり立てることなく、金属的な響きが美しいとすら感じるシャウトは、ロック・ヴォーカリストとしてのジョンの真骨頂です。残念ながら、ロック・ヴォーカリストとしてのジョンのピークはこの頃まで。これ以降ロックンロールのカバー曲をレコーディングしなくなったことや、ジョンの作風やヴォーカルスタイルの変化により、この手のヴォーカルは聴けなくなります。これより4年後トロントでこの曲を演奏した時は、バックの演奏がカッコ良すぎてあまり目立ってませんが、ジョンのヴォーカルは声が出てなくてダメダメだったと思います。